プライドをかなぐり捨てて泣きながら請うても、与えられるのは、ただただ冷たい視線だけ。
夕闇灯籠
最早何度目とも分からない精を吐き出す。
抵抗する力さえも残っていない体を布団の上に横たわらせたままぼんやりと顔を横に向ける。
あれ程頬を伝っていた涙も今は乾き、白くこびり付いている。
揺さぶられ続けた腰からは動いてもいないのに鈍い痛みが響き、息を吸うと喉がピリピリと痛みを訴える。
どうして、こんなことになった?
指はピクリとも動きはしないのに、引き抜かれる感触を惜しむように反応を返す自分が恨めしい。
無理矢理裂かれた体は傷付き、中から溢れ出た白い液体には鮮血が混じっている。
なのに、痛みは次第に快楽へと変わり、気付けば絶頂に上り詰めていて。
不快さに体を震わすが、それが太股を濡らす液か、自分へのかも分からない。
「土方さん、まだいけますよねィ?」
問い掛ける声は優しくてあまりにも残酷だ。
俺がまともな声を出すことが出来ないのも、拒否をすることが出来ないのも知っているくせに。
「あー、でもぐちゃぐちゃだねィ」
腹に飛び散った精液を撫でられ体を震わせる。
確かめるように腹筋を一つずつ触られ、出し尽くしたはずなのに自身は緩く立ち上がっていく。
離された手に名残惜しそうに視線を送ると、総悟は汚れた手をぺろりと舐め取り笑った。
「これだけで感じてんのかィ?……淫乱」
違うと頭を振ることも叶わず、下から水音が聞こえて耳を塞ぎたくなった。
わざと立てられるぐちぐちとした音に恥辱から顔が赤くなる。
「生娘みてェな反応するんですねェ」
「っぅぁ…」
ぎちぎちと圧迫感が押し寄せ、枯れ果てたはずの涙が再び伝う。
痛みなんて感じないのに。
「どうして泣くんですかィ、俺ァあんたのこと愛してるのに」
甘い毒が体を蝕んでいく。
「愛してまさァ」
言葉が鎖となって心に掛けられ、巻かれ、縛られ、締まっていく。
心臓が脈を打つ度に見えない血が流れる。呼吸さえも満足に出来ない。
痛い。辛い。苦しい。誰か助けてくれ。誰かッ!!
液体が広げられた腹部に唇が当てられ吸われる。
体中に嫌というほど付いた鬱血の跡。まるで鎖のようだ。
心も体も逃げることを許してはくれない。捕まって、囚われて。その先なんて考えたくない。
汗ばんだ肌が重ねられ、肩口に頭が埋められる。
「ねェ、俺の頼み、聞いてくれるって言ったじゃないですかィ」
「あれは嘘だったんですかィ?そんなわけないでしょう?」
「俺と付き合ってくれるんでしょう?」
「俺の言うこと、全部聞いてくれるんでしょう?」
誰か、なんて、助けてくれる誰かがどこにいるのだろう。
願うならば、焼き尽くしてくれないか。
地獄の業火でも構わないから。真っ赤な、血のような、赤き炎で。
きっと炎は、すべてを浄化してくれるだろうから。
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