嫌な予感はしていたのだ。
朝から。


町が熱気に包まれ、道を行く人は、二通りの表情を浮かべていた。
女性は歓喜を、男性は憂いを。
カップルらしき人が特にそうだった。

彼女の誕生日か?いや、こんなに大勢が一日で生まれたとはおかしい。
十秒ほど黙り込んで考えてみるが、答えは出なかったので、カーテンを閉めた。
温もりを手放し、スーツを着込む。肌に柔らかな冷たさが伝わる。

「さて、行くか」

左手首につけた重厚な腕時計を見て、ついでに中指に指輪がはまっていることを確認した。
貰った日から一時も外していないのだから、無駄だとは分かっているが。

自分の指には、似合うとはとても言えないデザイン。
右手の人差し指でなぞり、愛おしさから口付けた。

「っと、随分経ってしまった」

鏡でネクタイを直し、鞄を持った。
忘れ物はないな。今一度確認し、部屋を出た。



真っ白な日には真っ白な贈り物を



「では、そういうことで。これからもご贔屓を」

取引先との会議が終わり、相手の社長に笑みを向ける。
今日は何故だか、多くの相手先から呼び出しが掛かっている。
秒刻みのスケジュール。一分一秒とて無駄に出来ない。

「ちょっと待ってくれる?奈南川部長」
「何かありましたか?」

五十代の女性の社長は、明るく溌剌(はつらつ)としていて人望が厚い。
子供のように扱われるのは癪だが、年の差がそれ位なのでしょうがない。
それに、おかげで物事を包み隠さず素直に言ってくれるから役得だ。

「今日は何の日か知ってるでしょ?」

社長は目を細めて、両手を差し出した。
二十代じゃないんだからそのポーズは止めた方がいい、と思ったが口を噤んだ。
相手を怒らせるなんてこと、営業では持っての外だ。

「……いえ」

頭の中を駆け巡るが、会議の予定が現れるだけだ。
あ、新技術開発室からのサンプルがまだ来ていない。
移動中に連絡を入れておくか。

「…貴方って人間よね?」
「へ?はあ、そうです」

違うことを考えていた為、変な声を上げてしまう。
素っ頓狂な質問をした相手にも、否はあると思うが。

「一ヶ月前、恋人から何か貰った?」
「二月に?いえ」

恋人と伏せてはいるが、私と三堂の関係は本社内だけでなく、取引先の会社にも駄々漏れらしい。
女の噂は強力な感染力と説得力がある。
嘘とも真とも知れない噂が広がっていたこともあった。

「…本当に鈍感ね。日付位覚えておきなさい」
「日付………あ゛」

嫌な沈黙が流れる。

「今日は、三月、十四日、よ」

単語ずつ区切られチャーミングな笑顔を投げられるが、返せない。
頭が真っ白になり、社長の言葉が頭を巡る。

「お返し」
「……………」

ホワイトデー。
バレンタインデーに女性からチョコを貰ったお返しに、男性がマシュマロやクッキーをプレゼントする日。
仕事に追われ、存在を全く忘れていた。
気付けば用意をしていた物を。

「ないの?」

この社長は、忘れたからと言って契約を打ち切るような性格ではないが、マイナスのイメージを与えるのは確実だ。
急遽会議が入ってきたのも、全部これだろう。
自分の腑抜けさに溜め息を吐いて、一つの結果に辿り着いた。

「今年はこれで。では」

颯爽と社長の前を通り過ぎていく。
二分長引いてしまった。次の会議に影響がなければいいが。
カツカツカツと靴音を響かせ、外に出た。
新鮮な空気を吸う間もなく、急かされて車に乗り込む。
今日もまた、一日が始まる。


「…彼に怒られなきゃいいけど」

社長は不安げに彼の後姿を見つめていた。



欠伸を噛み殺して書類を捲る。
新技術の案だが、どれもこれも使えそうにない。
費用が莫大にかかる物、現実味のない物、既出している物。
上が急かしてきたのでしょうがなく、昔の書類を引っ張り出して読んでいたのだが。

「ほいほいと見つかってたまるかよ」

忌々しく舌打ちをして、山となっている書類の束に乗せた。
没になったアイデアを再利用しようなんて、甘過ぎる。
その場限りの物では市場に残れず、故障や苦情が相次ぐのは目に見えている。

まだ残っている書類を見て、げんなりする。
単調な仕事は耐えられない。
せめて、何か面白いことでもあればいいのに。

「ひ・ぐ・ち・し・つ・ちょ・う」

気付けば、周りを女性社員が取り囲んでいた。
見下ろされている状況が不機嫌さに輪を掛けた。

「あ?俺は今忙しいんだ。後にしてくれ」
「サボってたじゃないですか」
「ぐ……息抜きだ、息抜き」
「じゃ、休み中だったら話し掛けてもいいですね?」

上手く言い包められてしまった。
女性という生き物は本当に恐ろしい。

「…何の用だ」
「ホワイトデーなんでお返しを下さい」
「あるか、んなもん」
「ええー!?」

ブーイングが巻き起こり、音量に眉を顰める。
うっせぇ。耳鳴りがする。

「そもそも、何だあれは。チョコならゴ○ィバとは言ったが、2個入りを連名で渡すな」

700円程のチョコを、十数人の連名で渡され、お返しを求めるなんておかしいだろう。
一人いくら払ったんだ。四十円位だろ!?

「だって、高いじゃないですか。チ○ルチョコじゃなかっただけ喜んでくださいよ」

確かにあれよりはマシだが…。どうも納得がいかない。
ホワイトデーという行事自体、好きではない。
女性社員達が望んでいるお返しという物が。

「だからって、ヴィ○ンの財布なんて買えるか!」
「グ○チでも、シャ○ルでもいいですよ」

一人一人に財布なんて買える訳がない。
お前らは俺を自己破綻させたいのか?
そもそも何倍返しにさせるつもりだ。

「無理っつったら無理だ」
「じゃあ、シュークリームじゃ駄目ですか?」
「シュークリーム?それ位なら別にいいが」
「やったー」

手を叩きあって喜んでいる。
何だか嫌な予感がする。ビアー○・パパの、一個百いくらのシュークリームじゃないのか?

「今人気のシュークリームが食べたかったんですよー」
「12個入りと6個入りでいいよね?」
「うん。わあ、楽しみだなー、ありがとうございます」
「…どこで買うんだ?」

女性社員は目をぱちくりとさせ、こちらを見た。
何だその、知ってて当然っていう目は。

「ネットですよ。評判のシュークリーム、占めて五千円です!」
「五千円!?」

七百円に五千円のお返し?
約七倍だろ、おい。ホワイトデーは三倍返しじゃなかったのかよ。
まあ、バレンタインデーにくれたんだし、上司思いの奴らだ。
たまには優しくしてやってもいいか。

「…分ーったよ、払ってやる」

どうしてそこで固まる。

「何か文句があんのか?」
「い、いえいえ。驚いただけで。ねえ」
「まさか本当に出してくれるとは思ってなかったので」
「ったく、お前らの中の俺はどんなだよ」

「部下に冷たく、人を馬鹿にする、自己中心的で悪人顔」

悪人顔は関係ねぇだろ。
渋々と財布から五千円札を引き出し渡す。
ありがとうございます、と満面の笑みを浮かべるのを見ていて悪い気はしない。


「それにしても、奈南川部長遅いねー」
「順番に回ってくるからしょうがないよ」

奈南川が会社巡りをするのは毎年のことだ。
バレンタインデーに正に山になるほどのチョコを貰う為、お返しの量も半端ではない。
営業部部長であるということと生真面目な性格から、全員に手渡しで渡すから時間も掛かる。
もちろん、外回りでも配るのだから、ご苦労様としか言えない。

「あいつはたかがクッキー一枚かマシュマロ一個だろ?」
「あの奈南川部長が手渡ししてくれるんですよ!?全然たかがじゃないですよ」
「今日位しか至近距離に近付けないんですから!」
「前に「食べさせて」って言った時の照れた顔なんて、本当に可愛かったー」
「あー」

そりゃそうだ。普段は三堂という護衛がついてるんだった。
別に二人の恋路を邪魔しようという輩はいないが、(むしろうまく行くように影で細工している)、
奈南川に近付きたいと思うのは、女性社員全員の願いらしい。
高嶺の花って感じだもんな、あいつ。

「すまない。二十五分も遅れてしまった」
「営業部部長にあるまじき遅刻だな」

からかってやれば、心底申し訳なさそうな顔をした。
開発室の女性社員全員から睨まれた。

「取引先の社長を医務室まで運んでいたら、時間が掛かってしまってな」

医務室?運んでいた?嫌なことが起こりそうだ。
自分の第六感は確証がなくとも信じる物だ。
本能が危険を告げているのだから。

「今年は時間がなくて菓子を用意できなかった。なので」

嘆息が聞こえる中、奈南川は近くにいた女性社員に顔を近付けた。
薄い唇が頬に触れて、ゆっくりと離れた。
部屋は静まり返り、誰もが奈南川を凝視した。

「これで許して頂けるだろうか?」

ふわりと微笑んだ奈南川に、女性社員は大慌てで首を縦に振った。
その近くで固まっている女性社員に奈南川は近付き、頬に掛かっている前髪をそっと除けた。
赤く染まっている頬に、唇を近付け…。

「って、待て!お前何してんだ」
「何とは?お返しなのだが」
「どうやったらキスに辿り着くんだよ!」
「頬の上なら厚意のキス。有名な詩を知らないのか?」

知ってはいる。
だけど、あれは恋人同士がいちゃつく為にあるとしか思えない物だ。

「それに、アメリカでは日常だぞ?」

在住経験六年とか言ってたな。
でもな、お前があっちのおば様方に可愛がられてただけなんじゃないか?
間違った知識植えつけられたんじゃないのか?
いや、間違ってはいないんだろうが。

「とにかく止めろ!」
「何をそんなに怒る。ああそうか、火口からも貰っていたな」

ちょっと待て、ちょっと待て。
俺が貰った二つの内一つを、上手そうだな、って言って勝手に食べたんだろ?
女性社員達が不服の目で俺を見てるから、誤解を招くような表現はよせ。

「そうか、礼をしなければならないな。火口は厚意と言うより…」

額に冷たい唇が押し当てられる。
にしても、柔らけぇなこいつの唇。熱を移していくのは楽しそうだ。
女だったら絶対結婚する…。

「友情だろう」

待て待て。何考えてんだ、俺。
これが三堂に知られたら殺される。
って、いるし!そうか、三堂の経営戦略部でも同じことやってきたんだよな。
ああ、俺の人生短かったな…。

「火口ー、この案だけどさ」
「葉鳥っ!!」

葉鳥が阿弥陀如来に見えた。後光が差している。
とりあえずあのどす黒いオーラが見えなくなったから、解決としとこう。

「何の騒ぎ?」
「いや、奈南川の奴が」
「葉鳥」

凛とした声が聞こえたかと思うと、奈南川は葉鳥の頬に口付けた。

「へ?は?え?」

頭の中が混乱していることは傍目にも明らかだ。
突然キスされて驚かない方がおかしい。
常識人がいてよかった、と安堵の息を吐いた。

「僕、あげてないよ?」
「奥方とお嬢さんから送られてきた。カードに『パパに手伝って貰った』と書いてあったぞ」
「ああ、そういえばチョコ刻むの手伝ったんだった。
じゃあ、僕も奈南川が貰った物、仕分けてる時に少し食べちゃったから」

踵を上げて、葉鳥は奈南川の頬に口付けた。
伏せられた瞼、震える睫毛。
言いたくはないが、俺とは違い、お似合いのカップルなんだろう。
女性社員の反応からして。

「お返しね」

仔犬のような純粋な笑顔を向けた葉鳥に、奈南川はきれいな微笑を浮かべた。
葉鳥が奈南川に上げたチョコを食べたと言ってもまったく怒らず、女性社員はむしろ喜んでいる。
来年のチョコはどっちも一、五割増しだろうな。

「ナミ」

部屋の温度が氷点下にまで急激に下がった。
普段の温厚な部長という仮面はどこへやら、低く怒りを込めた声が響く。

「ちょっと、いいかな?」

笑顔が思いっきり作り笑いですよ、三堂さん。
邪気を向けているのは葉鳥じゃなくて俺の方だ。
確かに葉鳥なら許せる気もするが。…感化されてるな。

「……三堂」
「少し話したいんだけど。平気だよね?」
「ああ」

三堂は奈南川の手首を強引に掴み、部屋から足早に出て行った。
修羅場だな。
まあ、あの二人が別れるなんてことは有り得ないから楽観していていいだろう。

部屋がざわめくが、好都合だ。
朝、コートのポケットに忍ばせておいた缶を取り出し、中身を口に含む。

「葉鳥」

小声で名前を呼んで、近くに寄らせる。疑問符を頭に浮かべている。
手招きをして、椅子の隣に立たせる。

「何?」

部屋が騒がしくて、声が聞き取りにくいと思ったのか、顔を近付けてくる。
社員達は、二人が出て行った先を見ながら憶測を立てている。
口の端を上げ、葉鳥の後頭部を掴んで強引に唇を合わせた。

「んんっ!?」

無理矢理、口中の物を押し込む。
黄色く半透明な飴玉。
缶入りドロップは人工的な甘みがするが、嫌いではない。
口を離した時に唇に垂れた唾液を舐め取り、笑ってやった。

「な、何すんだよっ」
「お返し、だろ?」

奈南川と同じく、チョコが送られて来ていた。
既にクッキーを送ってある。

「クッキーじゃなくて飴にしてやったんだからな」

ぼんっ、と分かりやすく顔が赤くなる。
昔にバレンタインのお返しがキャンディーだと好き、クッキーだと友達、マシュマロだと嫌いという話を聞いたことがある。
その時はあげれば何でもいいだろうと思っていたが。

「っ、僕、戻るからっ」

走り去っていく姿を見届け、口元を隠そうと机に置かれた書類を手に取った。
こん、と小さな音がした。
ペンでも落としたかと思い見てみるが、所定の位置に置かれている。
椅子から身を乗り出し、落ちた物の正体を確認した。

「っは、はは、腹痛ぇ」

袋を破り、口に含んだ。
周りにザラメがついた大きな飴玉。
甘さとほのかな酸味が舌に伝わる。
あいつにやった飴と同じ味であることに、再び笑ってしまう。

「ホワイトデーも悪くないな」

頬を膨らませ、仕事に取り掛かった。



三月だと言うのに、風が身体を滑っていく。
常時開放されてはいるが、人の出入りは無に等しい屋上に連れてこられた。
無機質なコンクリートがこちらを睨んでいるようだ。

「三堂、痛いっ」

きつく握られた左腕に爪が食い込む。
そのあまりの強さに、目に涙が浮かぶ。
パッと話された手に一抹の寂しさを感じる。

「あれは仕方なかったんだ。返さないなんてことは、」
「ナミ」

突き刺さる声に身震いする。
鋭利な刃物のように尖った、私に向けたことのない声。
本当に、怒っている。

「あ……」

今まで三堂の優しさに甘えていた。
喧嘩をしても、私から謝ることはなく、いつも彼が謝罪した。
許してやってもいい、なんて傲慢な返事をしても笑ってくれた。
今回だって許してくれると思っていたのだ。

「私は…」

クレーム処理はお手の物だったのに、言葉が出てこない。
取引がうまく行かなくなるかもしれないから。
そう考えた上での行動だったが、他にもやりようはあった筈だ。
沈黙が、無表情が、恐ろしい。

「…す……すまなかった」

声が震えたのを隠すように、勢いよく頭を下げた。
瞳から熱い液体が溢れて、コンクリートの色を濃くする。
握り締めた拳に爪が食い込むが、痛みは感じない。

我侭で傲慢で弱虫な私。
呆れて馬鹿にしてもいいから、嫌いにはならないでくれ。

「顔上げてよ、ナミ」

柔らかな、温もりのある声。
顔を見ると、三堂は眉を下げて困ったように笑っていた。

「ごめん、怖がらせちゃったみたいだね。
ナミが他の人と仲良くしてるの見たら、抑え利かなくなっちゃって」
「私が、私があんなことしたからっ」
「営業に大切なのは人間関係だって知ってる。その為にしょうがなかったってことも。
僕が勝手に嫉妬して怒ってるだけだから、ナミが謝る必要なんてないんだよ?」

三堂が謝る理由なんてない。全て私が悪かったんだ。
顎からぽたぽたと雫が落ちる。

「思いを言葉にしてこなかった、私が悪い。
そんなことしてたら、嫌われるのは、当然、なのに」

口を開けたまま、三堂は何も喋らない。
私は醜い。周りばかり取り繕って。
クールなんじゃない、本音を言うことが出来ないだけだ。

「……何で言葉にしなかった?」
「だって、恥ず、かしい…」

責めるような口調に、視線を逸らして返事をする。
途端、風が遮られた。

「みど、う?」

風によって心地良さそうに揺れる茶色い髪を眺める。
肩口に埋められた頭を覗き見ようと首を傾げる。

「…分かってないなあ。僕はそういう所も含めてナミが好きなのに」

優しくて、安心できて、私の好きな笑顔。
同じように肩口に頭を埋めた。
髪の間から、白い首元が見えて、思いついた。

温かな血液が集中して流れているであろう所に、口付けた。
冷たさか、私からしたことにたいしてか、身体がびくりと動く。

「な、ナミ?」

首元を押さえ、訝しげにこちらを見る。
知らないのだろうか。あの有名な詩を。

「頬なら、厚意。額なら、友情」

三堂の目が大きく見開かれ、微笑んだ。
もう、私の意図することは分かっているだろう。

「首元なら?」
「欲望」

ふふっと微かに笑って、三堂は握っていた手を開かせ、掌に唇をつけた。
人より白い肌に、青紫色の痕がくっきりとつき、赤い液体が滲み出ていた。
三堂は辛そうな顔をして、血を舌で舐め取った。
ぴりっと痛みがあり、思わず声を上げる。

「痛かった?」
「大丈夫だ。それで、願いは?」
「何だと思う?」

悪戯を企む子供のように、三堂はさも愉快そうに笑った。
掌にするキスは懇願。
何を、なんて聞かなくても分かる。

「狂気の沙汰になるな」
「…足にしてもいいけど?」

人に服従なんてする訳ないくせに。
自分の力で道を開いていく。邪魔なものは切り捨てる。
瞼に唇を当てる。そんな彼に憧れているから。

「お褒めに預かり、光栄です」

手の甲に口付けられる。尊敬と忠誠を誓うキスを。
かの有名な作家が残した詩では、あと一つ残っている。
どちらからともなく見つめ合い、口を開いた。

「唇なら」
「愛情のキス」

貪るように唇を合わせ、舌を絡ませ合う。
これ程までに、嬉しかったホワイトデーがあるだろうか。
貴方に尊敬と友情と厚意と愛情と憧れと懇願と欲望のキスを。
そして、二人して狂気の沙汰になろう。

全てはそう、愛ゆえに。










ホワイトデー小説でした。
五時からパソコンに齧り付いて打ってました。人間ってやればできるんだね!
題名の真っ白な贈り物とはマシュマロだったんですが、キスがメインになっちゃいましたね…。

引用した詩はこちら↓

手の上なら尊敬のキス
額の上なら友情のキス
頬の上なら厚意のキス
唇の上なら愛情のキス
瞼の上なら憧れのキス
掌の上なら懇願のキス
腕の首なら欲望のキス
さてその他は、みな狂気の沙汰

フランツ・グリルパルツァーの「接吻」